物流会社に委託をする際の必要情報
前編では、基本的な輸出入方法のご紹介をいたしましたが、それでは早速物流会社に委託をしよう!と思った時、誰にどのような情報を伝えてお見積りを依頼すれば良いか分からない事も多いと思います。後編では海上輸送の見積もりを例にご紹介します。
まず、海上運賃の見積もり依頼というと、“船会社に“と思いつくと思います。しかし残念ながら、よほど大企業でない限り直接船会社より適切な海上運賃を提示されることは無いでしょう。船会社は定期的に一定量の船積みがある大口の契約でない限りなかなか取り扱いが難しいからです。
通常お見積りは”フォワーダー“と呼ばれる、船会社からコンテナや船のスペースを取りまとめて借りあげ、小口の荷主に再販売する業者に依頼する事となります。当社KEYCREWはフォワーダーとの繋がりもあり、また海上輸送の手配経験のある社員もおりますので、ご相談いただく事も可能です!
それでは、みなさまがフォワーダーにお見積りを依頼する当たり、スムーズにお見積りを取得するための5つのポイントをご紹介いたします!
1.商品は何か
運ぶ商品によって、海上輸送のコンテナ種類が決まります。
通常の常温対応のコンテナ(ドライコンテナ)の中は、貨物が海を渡る間に内部は高温になります。 食品などの冷蔵冷凍品は専用のコンテナ(リーファーコンテナ)を使用する必要があるかもしれません。
また、商品によっては“危険品”に分類されるものもあります。コンテナ輸送が可能なものと、そもそも輸送が出来ないものがありますので、注意が必要です。
2.何処から何処までか
どの港からどの港まで運ぶかを確認してください。 A国から日本への輸入だとしても、A国のどの港か(東側の港か、西側の港か等)で海上運賃が変わってきます。
3.輸送依頼をする範囲
“インコタームズ“という言葉を聞いた事はありますでしょうか。輸出者と輸入者の費用と危険の負担範囲を決める国際ルールです。 基本、輸出者と輸入者間で、どのインコタームズを適用するか取り決めています。 海上運賃を見積もる際、この費用負担の範囲がみなさまに必要な見積もり範囲のため、お見積り依頼時にはフォワーダーに教えてください。
*用語集でインコタームズの例をご紹介します。
4.輸送商品の物量
海上輸送する商品の全体の量で、当然コンテナのサイズが変わってきます。まずは商品がどのような荷姿になっていて、それがサイズとして〇M3なのか、それらがパレットに載っている場合の総M3と重量等を確認する必要があります。
全体の大きさ(M3)と重量(KG)によって、20フィートコンテナを使うか、40フィートコンテナか、はたまた1つのコンテナに満たないので、他の貨物との混載になるか(前編でご紹介のLCLの場合です!)が決まります。
*M3=立米 1辺1Mの立方体は1M3となります。
5.いつの船積みか
輸出者であれば、商品の準備が整い出荷できる出荷予定日を、輸入者であれば商品の納品予定がいつかをフォワーダーに伝えます。
以上の情報が揃い、フォワーダーにお見積り依頼をお願いするとスムーズですが、不明な所が一部あっても、概算は分かる事もあります!是非お気軽に当社にお問い合わせください!
そして無事、フォワーダーからお見積りを入手されたとします。お見積書には色々は物流用語が並ぶ事になります。最後によく見られる用語をご紹介いたします。
用語集
■POL:
Port of Loadingの略で輸出港の意味です。上海港が輸出港の場合“POL SHANGHAI ”の様に表記されたりします。
■POD:
Port of Dischargeの略で輸入港の意味です。大阪港が輸入港の場合”POD OSAKA”の様に表記されたりします。
■CY:
Container Yard(コンテナヤード)の略で、コンテナターミナル内でコンテナの受け渡し、集積、蔵置を行う場所です。FCLであれば、CYに搬入されます。
■CFS:
Container Freight Station(コンテナフレ-トステーション)の略で、LCLの場合等主に小口混載の貨物の積み下ろしをする保税倉庫の事です。
■バンニング:
コンテナに荷物を詰め込む作業のことをいいます。
■デバン:
コンテナから荷物を取り出す作業のことをいいます。
■OCEAN RATE:
海上運賃
■BAF/FAF:
Bunker Adjustment Factor/ Fuel Adjustment Factorの略で燃料費調整係数、いわゆる燃料割増料金のことで、燃料(重油)価格の変動に対して調整される割り増し料金です。
■YAS/CAF:
YEN Application Surcharge/Currency Adjustment Factorの略で通貨変動による為替差損益を調整する割増または割引料です。
■DOC FEE:
Documentation Feeの略でコンテナターミナルでの取り扱い費用の一部で船会社が荷主に課金する費用です。
■THC:
Terminal Handling Chargeの略でコンテナターミナルでの取り扱い費用の一部で船会社が荷主に課金する費用です。
■FOB〇〇(港名):
インコタームズの一つで、商品を指定船積港で本船の船上に置いた時点で、売主(輸出者)の引き渡し義務が完了し、買主(輸入者)が、その時点から一切の費用及び減失・損傷の危険を負担するという規則です。この場合、皆さまが輸入者の場合、輸出港のコンテナ積み込み費用や輸出通関に関する費用を負担する必要はなく、POLからの海上運賃、輸入港での通関費用等を負担する事になります。
■CFR〇〇(港名):
インコタームズの一つで、売主(輸出者)の引き渡し場所、危険負担の範囲はFOBと同じですが、売主(輸出者)が商品の指定仕向港までの運送費用を負担するという規則です。
輸送手配が始まるとフォワーダーとのやり取りで、物流用語がでてくるかもしれません。スケジュール連絡で頻出する用語を紹介いたします。
■ETA〇〇(港名):
Estimated Time of Arrival の略で入港する予定日の事です。
■ETD〇〇(港名):
Estimated Time of Departureの略で出港する予定日の事です。
■HDS:
Hot Delivery Serviceの略で、コンテナ貨物を同じ船で運ぶ他の荷物よりも早く引取ることができるようにするサービスです。POLにてコンテナ船の最上面や、荷卸ししやすい場所に積む事とPODで通関を優先的に行う事で実現します。
いかがでしたでしょうか。これからも、国際輸送の実体験を通したお話しをご紹介していきたいと思います!