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物流とロジスティクスの「違い」の話

ロジスティクス、略して「ロジ」。

通販が一般的になるにつれて「ロジ」という言葉もなんとなく一般的に使われるようになってきたと思います。

ただ、「物流」と「ロジ」の違いについてはあまり整理されないまま、なんとなく使われているような印象があります。

せいぜい、「物流」「倉庫」というと古くて堅苦しくて「ロジ」というとなんとなく現代風な感じがするという程度ではないでしょうか?

あまり実務には影響のない話ですが、知っておいて損はない話なので簡単に紹介します。

「物流」は英語にするとphysical distribution、まさに物理的なモノの配送のことを指します。物流は人の歴史のなかでもっとも古い産業の一つで交易が始まったまさにその時からphysical distributionは存在しました。

モノを「所有している人」から「欲しい人」に物理的に移動させることで、価値が増加し所有している人は自分がモノとして所有していた時の価値以上の価値(多くはお金としての「価格」)を得るという商業の基本的な枠組みの需要な要素として「物流」は発展してきました。細かい説明は省きますが、世界最初の株式会社である東インド会社はまさにこの基本原理に則っていました。

このように物流というのはモノの価値のアビトラージ(欲しい人と持っている人が違う状態)を最適化する行為です。Aさんが持っているモノをBさんはAさん以上に高い価値と評価している状態の時に物流の出番がやってくるわけです。

では、「ロジ」というのはどういう行為のことでしょうか?

Logistics。ロジスティクスというと真っ先に受ける説明は戦争の際には食料や弾丸・爆薬等の必需品を供給する計画・行為を指す「兵站」のことで、そこから戦略的物流の現代語として「ロジスティクス」と使われるようになった、というものです。恐らく、物流業界の方や、小売・メーカーの物流担当の方も一度はこのような説明を聞いたことがあるかと思います。

ただ、この説明は分かるようで良く分からない説明だと思います。結局、ロジって何なの?ってのが良く分かりません。

固有名詞を固有名詞で説明しても説明になりません。

ロジスティクスという言葉を正しく理解するためには、Logisticsという言葉の語源であるLogerという役割を理解する必要があります。

Logerというのは遠洋航海する際に船舶に搭乗していた航海士、特に、記録係のことを指しました。この仕事は航海をする際に海流を把握する為に紐で結んだLog(丸太)を船尾から一定間毎に落としその動きを記録するというものだったそうです。その結果、今皆さんにより馴染みのある「ログ」という言葉と丸太づくりの家である「ログハウス」の「ログ」が同じ「ログ」になったわけです。

「Log(丸太)」を使って記録を取っていた「Loger」の仕事ぶりは想像するしかありませんが、その重要性は認められ彼らの仕事内容を体系的にまとめ、計画系・実行系に変換させていく行為自体を「Logistique」つまり、「Logistics」と変化していきました。

ここまでで少しずつ物流とロジが似て非なる輪郭を持っていることが伝わってきたかと思います。

物流をモノの価値のアビトラージ(欲しい人と持っている人が違う状態)を最適化する行為と説明しましたが、ロジというのはその行為の妥当性・整合性を管理するために実績とを記録し、それを活用した計画を立案し、その上で運用する行為だと説明できるかと思います。はい、分かりづらいですね。

もう少し簡単にすると物流が行為それ自体を指すのに対して、ロジというのは物流を運用する上での方法論、特に記録を利用した方法論だと説明できます。

ですから、単純にモノを運びます、モノを保管しますという行為は「物流」ですが、この時期にこのルートはとっても混むので予め配送先に在庫を移動させておこう、みたいのはロジになります。

少し学究的な説明が長くなって辟易してきたと思いますので、説明はこのくらいにしますが、今後、「物流」や「ロジ」という単語を耳にした際に少し深掘りして考えるきっかけになればと思います。意外と奥が深い「ロジ」の世界。そのうち「ロジ」の具体的な活用事例も紹介していきます!

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