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物流をわかりやすく理解する

物流における3つの機能

ECが日々成長するなかで物流の重要性はますます高まっていますが、簡単そうに見えてなかなかわかりづらい「物流」。今回は物流の基本となる機能についてご紹介します。

「物流」とひとくちに言っても、最近ではテクノロジーやITの進歩もあり言葉が難しくなってきています。しかし、物流という古い産業を理解するのに難しい単語は必要ありません。今回は物流が三つの機能でできているということをお伝えします。

  1. 保管:モノを倉庫に置いておく機能
  2. 荷役:モノを倉庫内で動かす機能
  3. 輸送:モノを倉庫外で動かす機能

物流というのは保管・荷役・輸送の三つで出来ています。これはどれだけ最新の設備があろうと、家の近所にあるガレージであろうと何も変わりません。もちろん、家の近所のガレージと最新設備の倉庫・物流センターでは期待される能力は大きく異なります。しかしそれはあくまで期待する機能に濃淡があるということであって、保管・荷役・輸送が発生しない倉庫・物流センターはありません。

「保管」ってなんだろう?

ECだけではなく、物販を行う上で「在庫」は常に頭の痛い問題です。在庫がなければ売上が作れませんが、在庫が多すぎると売れ残りになってしまいます。

実は「保管」という機能は経済活動を行う上で革命的な機能として誕生しています。農耕革命が実現出来たのは安定的に自分たちが必要とする以上の生産を「保管」することが出来るようになったことがきっかけです。それ以前の狩猟社会では生産物の消費期限の観点から保管することが困難でしたし、また、物理的に保管するという機能がなかったので、保管しようという発想自体がありませんでした。しかし、倉庫が誕生し保管が出来るようになるとヒトは将来消費する生産物を初めは安全のために保管するようになり、次に価値を移転させるために取引するようになりました。

「保管」は、今から将来に価値のあるモノを予め確保しておく機能

と覚えておくといいと思います。将来、価値の移転が難しいモノはさっさと捨ててしまった方がいいとも言えます。

「荷役」ってなんだろう?

「荷役」という文字自体が少々敬遠されがちな印象を与えますね。力仕事を延々と行なっている、物流業が肉体的に厳しい業界であるイメージを与える代表です。そして、その印象は概ね正解です。

「荷役」はモノを求められたカタチに整える機能

物流の荷役は言葉のイメージとは裏腹にここ50年で求められる機能が大きく変容してきました。50年前までは物流の荷役といえば大きなロット(単位:ケースやパレット)でモノを整える機能で、大型輸送を前提としていました。業務用スーパーで取り扱われるような箱単位は○○kg等の扱いのイメージです。それが消費ニーズが多様化するに従って商品自体が小ロット多品種化し、倉庫で荷役に求められる機能も小さなロット(単位:ピースやセット)へと変わっていき、ECが世の中に浸透するに従いその傾向はより顕著になっています。

この変化でも分かるように荷役に求められる機能は届け先側がどのようにモノを受け取りたいかで変化してきました。これはこれからも変化し続けるでしょうし、変化に適した倉庫内の運営が求められます。

「輸送」ってなんだろう?

価値のあるモノが保管され、荷役により届け先側が求めるカタチでの準備が整いました。あとはこのモノを届け先には届けなくてはなりません。

「輸送」はモノを必要とするヒトへ届ける機能

モノの価値は色々な場面で変わりますが、場所が変わる時ほど価値が変わることはなかなかありません。世界最古の株式会社である東インド貿易会社は香辛料をインドから英国に移動させることでその価値の変化により大きな富を得ました。グローバル化が進むことにより各国、各地域で産業に特色を持つようになった現代においてはこの傾向はむしろ加速度的に増しています。この一見、非常にシンプルに見える輸送という業務がモノの価値を変動させ経済活動の大きな原動力になっています。

物流の基本のおさらい

今回は物流の基本的な機能として保管、荷役、輸送を紹介しました。保管は価値を保全し、荷役は価値を整え、輸送で価値を変動させると少し大げさにお伝えしました。そう思うと物流って少し面白くないですか?一見、当たり前に見える物流という産業が実は経済活動のとても重要な役割を担っているということが少しだけご理解頂けたかと思います。ぜひ、皆様も普段実際に触れられている物流を少し踏み込んで考えて頂ければと思います。

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